ウレタン防水とは?プロが教える!知っておきたい基礎知識

「ウレタン防水という言葉を聞いたことあるけど、どんな防水施工法で、どこの防水に向いているかはわからない」という方は多いと思います。
また、「防水工事が必要だけど、ウレタン防水が良いのか迷っている」という方も少なくありません。
今回はそんなお悩みをお持ちの方向けに、ウレタン防水について1から解説していきます。

目次

ウレタン防水とは

ウレタン防水は液状の防水材を複数回塗り、防水の膜(防水層)を作る「塗膜防水」の一種です。
ウレタン樹脂を複数回塗布することで、つなぎ目のない防水層を形成します。

施工する面の広さや形状、材質を問わず施工できるため、数ある防水施工の中でもよく使われる防水施工法となっています。
塩ビ防水やアスファルト防水などのシート防水で対応できない箇所だけ、ウレタン防水で施工することもあります。

ウレタン防水にも様々な施工法がありますが、その中でも密着工法と通気緩衡工法は採用されることが多い施工法です。

工期が短く費用も安価な「密着工法」

ウレタン防水の施工法の一つ「密着工法」とは、ウレタン樹脂を下地に直接塗るシンプルな工法です。
シンプルな工法だけに、ウレタン防水の中でも比較的工期が短く、費用も安価なことが特徴。

下地の影響を受けやすく、下地を充分に乾燥させてから施工しないとすぐに劣化してしまいます。
そのため、下地をしっかり乾燥させられるベランダなどの狭い場所向きの防水工事です。

密着工法の施工手順は以下の通りです。

  1. 下地調整:高圧洗浄で汚れやゴミを除去
  2. プライマー塗布:防水層と下地を接着させる接着剤を塗る
  3. ウレタン塗膜の形成:ウレタンを均一に2回塗り重ねる
  4. 保護塗料(トップコート)塗布:紫外線から防水層を守る

耐久性が高い「通気緩衝工法」

通気緩衝工法とは、絶縁工法とも呼ばれる防水施工法で、下地に通気緩衝シートを貼り、その上にウレタン樹脂を塗り固めます。通気緩衝シートの無数の小さな穴から、内部の水分や湿気を逃すため、耐久性が高い施工法です。

経年劣化で痛んだり、雨漏りを起こしてる箇所の下地は時間が経っても水分を含んでいるため、密着工法ではすぐに劣化します。
そのため、経年劣化がひどい箇所は通気緩衝工法が用いられることが多いです。
密着工法よりも工程が多く、耐久性が高い代わりに工期と費用がかかります。

通気緩衝工法の施工手順は以下の通りです。

  1. 下地調整:高圧洗浄で下地の汚れやゴミを除去します。
  2. プライマー塗布:防水層と下地の接着を助けるプライマーを塗ります。
  3. 通気緩衝シートを敷く:シートを敷くことで、下地の湿気がウレタン塗膜に直接伝わるのを防ぎます。
  4. 脱気筒取り付け:下地の水分や湿気をシートが吸い取り、脱気筒を通して外へ逃します。
  5. ウレタン塗膜塗布:均一に2回重ね塗りして防水層を形成します。
  6. 保護塗料(トップコート)塗布:紫外線や外部の影響から防水層を保護します。

ウレタン防水のメリット・デメリット

ウレタン防水の汎用性が高いとはいえ、ウレタン防水に向いていない箇所や状況もあります。
悪質な業者に騙されないためにも、ウレタン防水のメリット・デメリットをしっかり理解しておきましょう。

ウレタン防水のメリット

  • 防水施工する場所を選ばない
  • 施工費用・メンテナンス費用が安い
  • 建物に負担がかかりづらい

メリット1)防水施工する場所を選ばない

ウレタン防水は液状のウレタン樹脂を重ね塗りして防水層を作るため、段差や複雑な形状にも対応できます。
つなぎ目もできないため、凹凸がある箇所でも隙間から雨漏りを起こすこともありません。

メリット2)施工費用・メンテナンス費用が安い​

他の防水施工法と比べると、比較的安価であることもメリットの一つです。
ウレタン防水は最後に、表面を保護するためにトップコートという塗装材を塗ります。
トップコートを塗ることで、その下のウレタン樹脂で作った防水層は痛みにくくなるため、15年程度は問題なく生活できます。
メンテナンス費用もトップコート自体を5年程度で塗り替えるだけなので、他の防水施工法と比べると安価です。

メリット3)建物に負担がかからづらい

防水シートを貼る他の防水施工法に比べると、ウレタン樹脂で作った防水層は軽く、建物にかかる負担も軽くなります。

ウレタン防水のデメリット

  • 職人の技術が仕上がりを大きく左右する
  • 5年に1度メンテナンスが必要
  • 施工中にウレタン樹脂の匂いが出る

デメリット1)職人の技術が仕上がりを大きく左右する

ウレタン樹脂を手作業で職人が塗るため、その職人の技術によって仕上がりが大きく左右されます。
均一かつ、つなぎ目ができないように塗れないと、薄く塗ってしまった箇所やつなぎ目から雨漏りを起こしてしまうため、劣化が早くなります。

デメリット2)5年に1度メンテナンスが必要

メンテナンス自体は表面(トップコート)を塗り替えるだけなのですが、その代わり小まめにメンテナンスが必要となります。

デメリット3)施工中にウレタン樹脂の匂いが出る

施工中は材料であるウレタン樹脂の匂いが発生するため、匂いが気になる方もいらっしゃいます。
ただ、施工が終われば匂いは残りません。

その他の防水施工法との違い

ウレタン防水のメリット・デメリットをお伝えきました。
では、他の防水施工法とウレタン防水はどのように違うのでしょうか。
ウレタン防水以外の主な施工法の下記3つと比較してご説明します。

  • FRP防水
  • 塩ビ防水
  • アスファルト防水

ウレタン防水とFRP防水との違い

FRP防水とは、FRPシートを敷き、その上から液状のプラスチック樹脂と表面(トップコート)を塗って、防水膜を作る防水施工法で、木造の戸建てに適しています。
液状の樹脂を塗るため、ウレタン防水と似ていますが、ウレタン防水は木造には向いていません。
FRP防水は広い面積の施工には向いていないため、ウレタン防水よりも対応力が低い防水施工法と言えます。

ウレタン防水と塩ビ防水との違い

塩ビ防水とは、塩化ビニール樹脂で作られた防水シートを、下地もしくは緩衝材の上に貼って、防水層を作る防水施工法です。

ウレタン防水は液状のウレタン樹脂などで防水層を作るのに対し、塩ビ防水はシートで防水層を作ります。
ウレタン防水のように、防水材を乾かす時間がいらないため、広い面積の防水施工を行う場合、塩ビ防水の方が短い工期で施工できます。

塩ビ防水の機械固定工法(絶縁固定工法)なら、下地の劣化がひどい場合でも、ウレタン防水より影響が受けづらいことも特徴です。
ただ、シートを貼る施工法のため、凸凹がある床には向いていません。

ウレタン防水とアスファルト防水との違い

アスファルト防水は、数ある防水施工法の中でも最も古く、業界から信頼されている施工法。
アスファルト防水はその名のとおり、防水工事用のアスファルトに防水シートを張り重ねて防水層を作ります。

業界からも信頼されているとおり、他の防水施工の耐久性が大体10年〜15年に対して、アスファルト防水は15年〜25年と高い耐久性を誇ります。

施工には大がかりな設備や道具が必要になるため、狭い箇所の施工には向いていません。
しかし、改質アスファルト防水と呼ばれる施工法なら、狭い箇所での施工も可能。

アスファルト防水は、団地や工場など頻繁にメンテナンスや改修をしづらい建物に向いている施工法です。
ウレタン防水はメンテナンスが頻繁に必要となるため、メンテナンスのしやすい建物向きの施工法と言えます。

ウレタン防水の補修・メンテナンスのタイミング

ウレタン防水の補修・メンテナンスが必要になるタイミングは、下記5つです。
この5つのいずれかに当てはまった場合は、専門家に相談することをお勧めします。

  • 表面(トップコート)の変色
  • 表面(トップコート)のひび割れ
  • 塗膜(防水層)の浮き・膨れ
  • 塗膜(防水層)の亀裂
  • 雨漏り

表面(トップコート)の変色

表面(トップコート)の変色が見られる場合は、ウレタン塗膜(防水層)を保護する機能が低下しているサインです。
トップコートはウレタン塗膜を雨水や紫外線から保護する役割を担いますが、劣化が進むと防水層自体にも影響します。
変色やひび割れに気づいたら、防水層を長持ちさせるためにトップコートの塗り替えを検討しましょう。

表面(トップコート)のひび割れ

表面(トップコート)にひび割れがある場合、下のウレタン塗膜(防水層)が劣化している可能性があります。
トップコートだけの劣化であれば塗り替えで対応できますが、防水層まで傷んでいる場合は下地からの修繕が必要になることもあります。
ひび割れを確認したら、自己判断せず専門業者に調査を依頼しましょう。

塗膜(防水層)の浮き・膨れ

ウレタン塗膜(防水層)が浮いたり膨れたりしている場合、下地に水分が溜まっている可能性があります。
浮いた防水層は、歩行や経年劣化で破れる恐れがあるため、部分補修や場合によっては全体改修が必要です。

また、下地の水分は雨漏りの兆候でもあるため、早めに防水業者に調査を依頼し、状態を確認してもらいましょう。

塗膜(防水層)の亀裂

表面(トップコート)だけではなく、ウレタン塗膜(防水層)にもひび割れや亀裂が見られる場合、そのまま放置すると雨漏りの原因となるため、補修工事を検討しましょう。

雨漏り

トップコートだけでなく、ウレタン塗膜(防水層)自体にひび割れや亀裂が見られる場合は、そのまま放置すると雨漏りにつながる可能性があります。早めに補修工事を検討しましょう。

ウレタン防水を長持ちさせる3つのポイント

せっかくお金をかけて防水したなら、できるだけ長持ちさせたいですよね。
長持ちさせるためには、下記3つのポイントに気をつけて、建物を補修・メンテナンスすることをお勧めします。

  • 排水溝の点検・清掃を定期的に行う
  • 5年を目安に表面のトップコートを塗り替える
  • 防水層に大きな劣化がなければ、ウレタン防水を重ね塗りする

ポイント1)排水溝の点検・清掃を定期的に行う

屋根で受けた雨水は全て排水溝に流れます。
排水溝が詰まっていると、雨水が流れないため、水が溜まってしまいます。

その水溜りが、防水層の劣化を進めます。
そのため、排水溝がつまらないように、定期的に点検・清掃しましょう。

ポイント2)5年を目安に表面のトップコートを塗り替える

ウレタン樹脂を何層も重ねて塗った一番上は、トップコートと呼ばれる紫外線から防水層を守る役割の塗料です。
そのトップコートが剥がれてしまうと、紫外線や熱によって防水層の劣化が進みます。
そのため、トップコートは5年程度を目安に塗り替えましょう。

ポイント3)防水層に大きな劣化がなければ、ウレタン防水を重ね塗りする

防水層に大きなひび割れや亀裂が見られない場合は、ウレタン防水の「重ね塗り」で対応できるケースがあります。
重ね塗りとは、既存の防水層の上から新たにウレタン防水を施工する方法。防水層をすべて撤去・交換するよりも手間や費用を抑えられるのが大きなメリットです。

ただ、実際に重ね塗りが可能かどうかは防水業者による現地調査が必須。
既存の防水層の状態や施工方法によっては、重ね塗りが適さない場合もあるためです。

特に、これから紹介する防水施工が施されている場合に限って選択できるメンテナンス方法となります。

ウレタン防水の上から新たにウレタン防水を施工する場合

防水層に大きなひび割れや膨れが見られない場合は、既存のウレタン防水の上から新しいウレタン防水を施工できます。
施工には「密着工法」を用います。密着工法では、下地に直接ウレタン樹脂を塗布できるため、既存の防水層を活かしたメンテナンスが可能です。

ただ、既存の防水層が劣化している場合は、密着不良のリスクがあるため、施工前に防水業者による状態確認が必要です。

シート防水の上から新たにウレタン防水を施工する場合

シート防水は、ウレタン防水のように樹脂を塗って防水層を作るのではなく、防水シートを貼って防水層を形成する工法です。
シート防水の上からウレタン防水を施工する場合は、「通気緩衝工法」を用います。
通気緩衝工法では、シートの上にウレタンを重ね塗りし、下地の水分を逃がせる構造になっています。

密着工法で施工しない理由としては、空気が閉じ込められて下のシートが浮着やすく、ウレタン塗膜(防水層)も剥がれるリスクが高いためです。
ただ、既存のシートの状態によって施工可否を判断する必要があります。

主に以下の条件を満たしていることが求められます。

  • シートに大きな浮きや破れがないこと
  • 下地の水分量が基準以下であること(含水率が高いと密着不良の原因)
  • 専用プライマーで接着可能であること
  • シートのシール部や端部が劣化していないこと

ウレタン防水の費用相場・施工期間・耐用年数

ここではウレタン防水を中心に、他の代表的な防水工法と比較できるようにまとめました。
工事の規模や建物の状況によって変動する場合がありますが、おおよその目安として参考にしてください。

工法施工費用(1㎡あたり)耐用年数目安の施工期間
ウレタン防水5,500〜6,500円10〜15年3〜5日
アスファルト防水5,000〜7,000円15〜30年5〜10日
塩ビシート防水4,000〜7,500円10〜15年2〜4日
FRP防水5,000〜7,000円10年1〜3日

ウレタン防水はDIYできるの?

ウレタン防水のDIYはお勧めできません。
均一に塗れず、塗りムラや継ぎ目ができると、雨漏りや劣化の原因になるためです。
施工には下塗りや乾燥など複数の工程があり、時間や手間もかかります。
市販のセット商品でも硬化の管理や必要量の調整は難しく、厚さ約 2.0~3.0mm の塗膜を均一に仕上げるのは素人の方には難しいです。

屋上やベランダ、バルコニーなど、雨漏りや建物の劣化に直結する重要な場所への施工は、費用と労力を無駄にしないためにも、防水業者に任せるのが安全で確実です。

悪徳業者に騙されない3つのチェックポイント

防水工事は専門性が非常に高いため、その業者の施工は質が高いのか、見積もりの金額は適正なものか、一般の方ではわからないと思います。
ただ、この3つのチェックポイントを参考にしていただければ、悪徳業者に騙されにくくなります。

  • ウレタン防水の施工実績を確認する
  • 工事保証・アフターフォローの内容をチェック
  • 必ず2~3社に相見積もりを取る

チェックポイント1)ウレタン防水の施工実績を確認する

この記事でもお伝えした通り、ウレタン防水は職人の技術が仕上がりに大きく影響します。
その会社にウレタン防水の技術があるかを判断するために、ウレタン防水の施工実績がどれくらいあるか確認しましょう。
施工実績が多ければ多いほど、ウレタン防水の技術力は高いはずです。

チェックポイント2)工事保証・アフターフォローの内容をチェック

業者や工事内容によっては、防水工事の品質を保証してもらえる場合があります。
保証期間の間に雨漏りをした場合、保証金額内で修理をしてもらえます。

また、アフターフォローとして、小さな破損などの修理をしてもらえる業者もいます。
保証やアフターフォローがある場合、口頭ではなく書面で内容を確認しておきましょう。
口頭での確認はトラブルの元です。

チェックポイント3)必ず2〜3社以上に相見積もりを取る

適正な価格がわからない場合、必ず2〜3社から相見積もりを取りましょう。
相見積もりを取れば、大体の相場がわかるはずです。

ただ、相見積もりをする業者を増やしすぎると、材料費や施工の質を落として、相手の見積もりよりも安くすることに重点を置かれてしまいます。

その結果、本来大切な施工の質が低くなってしまうケースもあるため、相見積もりを取るとしても2〜3社程度に抑えることをお勧めします。
相見積もりの内容と、これまでのチェックポイントの内容から、業者を選べば悪徳業者に騙されにくくなります。

メリットは大きいが業者の技術力が重要なウレタン防水

ウレタン防水は施工場所を選ばず、施工費用もメンテナンス費用も安く、建物にも負担がかかりづらい、メリットが多い施工法です。

ただ、職人の技術力が必要なため、依頼先を決める際にはしっかりと業者を調べて、コミュニケーションを取る必要があります。
また、防水施工法には様々な種類があるため、本当にウレタン防水が良いか迷う方も多いはずです。

株式会社アクアスでは、建物の状況に合わせた最適な防水施工を行うことをモットーにしており、現地調査を行い、依頼主様としっかりコミュニケーションをとった上で、最適な施工法をご提案しております。
ウレタン防水を行える業者を探している方は、ぜひ株式会社アクアスまでお問合せください。

株式会社アクアスのウレタン防水の施工事例

参考までに、株式会社アクアスが施工したウレタン防水の事例を紹介します。

神奈川県相模原市南区の住宅屋上の施工事例

スクロールできます

神奈川県横浜市の住宅バルコニーの施工事例

スクロールできます

東京都世田谷区の住宅屋上の施工事例

スクロールできます

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