自宅の屋根に合うのはどの防水工事?主な工法と費用相場などを職人が解説

屋根の防水工事にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や費用が異なります。
自分の家にはどの防水工事が合っているのか、なかなか判断するのは難しいですよね。

この記事では、屋根の防水工事の種類と費用相場、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。
さらに、防水工事を業者に依頼するタイミングや、業者選びのポイントといった基礎知識も合わせてお伝えします。

この記事を読むことで、自宅の屋根にどんな防水工事が適しているか理解でき、専門業者に相談するときの疑問や不安が減り、安心して工事の検討を進められます。

目次

2種類の屋根と必要な工事の違い

屋根の防水工事について解説する前に、屋根の種類と必要な工事の違いを解説していきます。
屋根の形状は大きく分けて「三角屋根」と「陸屋根」の2種類があります。
それぞれの屋根では必要な工事が異なるため、自分の家の屋根に合った対策を知ることが大切です。

一般的な屋根「三角屋根」

まずは、戸建て住宅で多く採用されている「三角屋根」を紹介します。
三角屋根は基本的に雨水が自然に流れ落ちる設計なので、防水工事の必要性は高くありません。

しかし、屋根材の継ぎ目や下地部分には防水処理が施されており、経年劣化で塗装の剥がれやひび割れが起きると、そこから雨漏りすることも。
そのため、三角屋根でも定期的なメンテナンスや点検は欠かせません。

平らな屋根「陸屋根」

陸屋根(ろくやね)は、傾斜がほとんどなく平らな形状の屋根を指し、マンションや商業施設などで広く採用されています。
陸屋根は屋上として活用できるため、近年では戸建てにも用いられる屋根です。
わずかな傾斜はありますが、ほぼ平らな形状で雨水が溜まりやすいため、防水工事が必須。

「三角屋根」の防水工事の種類とメリット・デメリット

三角屋根は雨水が流れ落ちる設計ですが、長期的に建物を保護するためには定期的なメンテナンスや防水工事が必要です。
三角屋根の防水工事には、主に以下2つの工法が用いられます。

  • アスファルトシングル葺き
  • 塩ビシート防水工事

それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説していきます。

よく使用される工法!アスファルトシングル葺き

三角屋根でよく使われるのが、アスファルトシングル葺きという工法です。
アスファルトシングルは、ガラス繊維の基材にアスファルトを浸透させ、表面に細かい石粒を施した軽量な屋根材を指します。
柔らかく傾斜のある屋根の複雑な形にも対応しやすいのが特徴。

メリットデメリット
軽くて屋根への負担が少ないメンテナンスが必要
比較的短期間で工事ができる
耐久性が高い

屋根の劣化具合により施工方法は異なり、以下の3種類の工法があります。

1. 葺き替え工法

既存の屋根材をすべて取り除き、新たな屋根材に全面的に交換する工法です。
屋根全体が新しくなるため、耐久性が向上し、雨漏りの心配も減らせます。

2. 被せ工法

既存の屋根材の上から新しい屋根材を重ねる工法。葺き替えに比べて費用や工期を抑えつつ、防水効果を高めることが可能です。

3. 保護塗装

既存の屋根材の表面に防水塗料を塗布し、屋根材の保護と外観の維持を目的とした工法です。
他の方法より費用は抑えられますが、屋根材の劣化が進んでいる場合には適していません。

既存の屋根材の上から施工できる!塩ビ防水工事

塩ビシート防水は、塩化ビニール樹脂製のシートを下地やクッション材の上に貼り付けて、雨水の浸入を防ぐ施工方法です。
既存の屋根材を撤去せず、その上から塩ビシートを重ねられるため、コストを抑えつつ短期間で工事できます。
シート自体に色や柄がプリントされているため、追加で保護塗装を施す必要がなく、メンテナンス費用も抑えられます。

メリットデメリット
防水剤を乾かす時間がない凸凹の場所や複雑な形状への対応が難しい
施工に必要な材料が少ない外部損傷に弱い
工期が短いシートのつなぎ目部分の処理が甘いと、漏水の原因になる

塩ビシート防水工事のメリット・デメリットを詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

「三角屋根」の防水工事の費用相場と耐用年数

三角屋根の防水工事にかかる費用や耐用年数は、使用する工法や材料によって異なります。
代表的な工法であるアスファルトシングル葺きは、比較的長持ちで耐久性に優れている一方、塩ビシート防水はコストを抑えやすく短期間での施工が可能です。

それぞれの特徴を踏まえ、屋根の状態や予算に合わせて選ぶことが大切です。

防水工事費用相場耐用年数
アスファルトシングル葺き1㎡辺り 5,000〜7,000円20〜30年
塩ビシート防水1㎡辺り 4,000〜7,500円10〜15年

「三角屋根」の防水工事を業者に依頼するタイミング

三角屋根の防水工事を業者に依頼するタイミングは、屋根材の劣化が目に見えて確認できたときです。
屋根材の浮きや剥がれがあると、そこから雨水が侵入しやすくなり、雨漏りの原因となります。

早めの対処が被害拡大を防ぎ、結果的に修繕費用の節約にもつながります。
また、台風や強風の後は必ず点検を行い、異常があれば早めに防水業者へ相談しましょう。

屋根材の浮き・剥がれ

三角屋根の劣化サインで注意したいのは、アスファルトシングルという屋根材の浮きや剥がれです。
急な傾斜の屋根や海沿い・高台のマンションなど、風が強く当たる場所では接着が弱まりやすく、浮きや剥がれが起こりやすくなります。

放置されると雨漏りだけでなく、劣化した屋根材が飛んでしまう危険もあります。
台風などの悪天候の後には、必ず浮きや剥がれがないかを点検しましょう。

塩ビシートの浮き・剥がれ

塩ビシートで防水工事をしたことがある場合、シートの浮きや剥がれがないか確認しましょう。
塩ビシートが劣化すると、隙間から雨水が侵入し雨漏りに直結するため注意が必要。特にシートのつなぎ目や軒先は劣化しやすいので、点検するときは重点的に確認しましょう。

「陸屋根」の防水工事の種類とメリット・デメリット

次に陸屋根の防水工事の種類とメリット・デメリットを解説します。

陸屋根の防水工事にもいろいろな工法があってどれを選べば良いのか迷ってしまいますよね。
いくつか種類がありますが、まずは代表的な4つの防水工事を知っておきましょう。

  • ウレタン防水工事
  • FRP防水工事
  • 塩ビシート防水工事
  • アスファルト防水工事

塩ビシート防水のみ、三角屋根と陸屋根のどちらにも採用される防水工事です。

工事・メンテナンス費用が安い!ウレタン防水工事

まずは4種類の防水工事の中でも、最も用いられるウレタン防水工事から説明していきます。

ウレタン防水工事は、液体のウレタン樹脂を何度も塗り重ねて、雨水が入らないように表面をコーティングする工法です。

メリットデメリット
工事する場所を選ばない職人の技術力が仕上がりを左右する
工事・メンテナンス費用が安い5年ごとにメンテナンスが必要
材料が軽いため建物に負担がかかりにくい工事中にウレタン樹脂の匂いが出る

ウレタン防水工事のメリット・デメリットを詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

短期間で工事できる!FRP防水工事

次に木造住宅のベランダに使われることが多いFRP防水工事がどんな防水工事なのかを解説します。

FRP防水工事は、ガラスの繊維が入ったプラスチックのシートを使い、その上から液体樹脂を塗って固めることで、水を通さない強い表面を作る工法です。液体樹脂が乾くのが早いため、他の工法よりも短期間で工事が可能。

メリットデメリット
耐久性が高い他の防水工事より費用が高い
工事期間が短いFRP防水は後から別の防水を重ねられない
材料が軽いため建物に負担がかかりにくい

FRP防水工事のメリット・デメリットを詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

低コスト・短納期!塩ビ防水工事

液体樹脂ではなく、防水シートを使って水の侵入を防ぐ塩ビシート防水工事について解説します。
塩ビシート防水は、塩化ビニール樹脂でできたシートを下地やクッション材の上に貼って、雨水を防ぐ工法です。

メリットデメリット
防水剤を乾かす時間がない凸凹の場所や複雑な形状への対応が難しい
施工に必要な材料が少ない外部損傷に弱い
工期が短いシートのつなぎ目部分の処理が甘いと、漏水の原因になる

塩ビシート防水工事のメリット・デメリットを詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

最も耐久性が高い!アスファルト防水工事

最後に数ある防水工事の中でも、古くから防水業界で信頼されているアスファルト防水工事がどんな防水工事なのか解説します。

その名の通り、溶かしたアスファルトとアスファルトルーフィングという防水シートを使って水を防ぐ工法です。
他の防水工事に比べて重い材料なので、マンションやビルなど、しっかりした構造の建物によく採用されます。

メリットデメリット
他の施工法よりも耐用年数が長い工事できる箇所が限られる
最も古くからある防水工事のため、信頼性が高い工事できる会社が少ない

アスファルト防水工事のメリット・デメリットを詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

「陸屋根」の防水工事の費用相場と耐用年数

防水工事を業者に依頼する前に、費用相場と耐用年数を知っておきましょう。

特に相場を知っておくと、見積もりが高すぎたり安すぎたりする場合にすぐ気づけます。
防水工事の費用は、工法・施工場所・面積などによって変わりますが、まずは下記の目安を参考にしておけば安心です。

防水工事費用相場耐用年数
ウレタン防水1㎡辺り 5,500〜6,500円10〜15年
FRP防水1㎡辺り 5,000〜7,000円10年
塩ビ防水1㎡辺り 4,000〜7,500円10〜15年
アスファルト防水1㎡辺り 5,000〜7,000円15〜30年

「陸屋根」の防水工事を業者に依頼するタイミング

ここでは、陸屋根の防水工事を業者に依頼するタイミングを解説します。
これから紹介する項目に当てはまる場合は、早めに防水業者に工事を依頼しましょう。

築10年以上経過している

ウレタン防水・FRP防水・塩ビ防水・アスファルト防水は、いずれも耐用年数がおおよそ10年ほどです。
新築から10年以上が経過して一度も防水工事を行っていない場合、雨水の侵入を防ぐ表面コーティングの寿命を超えている可能性があります。劣化が進む前に、防水工事の実施を検討しましょう。

屋根の表面にひび割れや剥がれがある

陸屋根の表面にひび割れや剥がれがある場合、その隙間から雨水が侵入する恐れがあります。見つけたら早めに防水業者に相談することが大切です。

放置していると、雨水が建物内部にまで入り込み、雨漏りの原因に。
雨漏りが発生すると、防水工事だけでなく、内部の補修工事まで必要になる可能性があるため、ひび割れや剥がれを見つけたら、なるべく早く修理を依頼しましょう。

屋根の表面が膨らんでいる

陸屋根の表面に膨らみが見られたら、放置は禁物です。
そのままにしておくと、ひび割れや破裂を起こし、雨漏りや建物内部の劣化につながる恐れがあります。早めに防水業者に点検・補修を依頼しましょう。

膨らみの原因は、雨水などが防水層の中に入り込み、逃げ場を失った水分が内側から押し上げることで発生します。
さらに、昼間の太陽光による膨張と、夜の冷え込みによる収縮を繰り返すことで表面に負荷がかかり、膨らみやひび割れが生じやすくなります。

屋根の表面に雨水が溜まっている

陸屋根の表面に雨水が溜まっていたら、早めの点検が必要です。
主な原因として、排水溝や排水口にゴミ・落ち葉・ホコリなどが詰まり、水が流れなくなっているケースがあります。

また、陸屋根の表面がひび割れたり剥がれたりしていると、そこから雨水が浸み込み内部に水が溜まることも。
雨が降った翌日は、陸屋根の表面に水が溜まっていないか定期的に確認しましょう。

屋根の防水工事はDIYできる?

一戸建ての場合、DIYで防水工事を考えている方もいるかと思いますが、絶対にやめましょう。
屋根の状態や既存の防水加工をきちんと調査し、最適な防水工事を選ばないと、防水機能が十分に発揮されません。

また、「ウレタン防水は簡単にできる」としてDIYを勧める情報もありますが、実際は高い技術が必要です。
手作業で均一に塗るのは難しく、塗りムラや継ぎ目ができると雨漏りや劣化の原因となるため、個人で行うのはリスクがあります。
そのため、防水工事は専門知識と経験を持つ防水業者に任せるのが安全で確実です。

屋根の防水工事を依頼する際の業者選びのポイント

屋根の防水工事は、建物を雨漏りや劣化から守るために欠かせない重要な工事です。
ただ、専門知識が必要になるため、業者選びや依頼時の注意点を把握しておくのが大切。

ここでは、屋根の防水工事を依頼する際の業者選びのポイントを紹介します。

複数の業者から見積もりを取る

防水工事を依頼する前に、複数の業者から相見積もりを取るのがお勧めです。
その際は、見積書の内容をしっかり確認しましょう。

「防水工事一式」といった大まかな表記だけでは、どんな作業が含まれているのかがわからず、後から追加費用を請求されるトラブルにつながる場合があります。
また、工事面積についても、どの範囲をどのくらい工事するのか、根拠を明確に示してもらうことが大切。

誰が見ても「どこに」「どんな工事を行うのか」がわかる見積書になっているかを確認しましょう。
少しでも疑問点があれば、そのままにせず、納得いくまで業者に説明を求めることが大事です。

屋根の防水工事の実績を確認する

防水工事を依頼する際は、業者のホームページなどで工事の実績を確認しましょう。

特に屋根の防水工事を多く手がけている業者であれば、それだけ豊富な経験と知識を持っていると判断できます。
実績が多いほど、さまざまな建物や状況に対応してきたノウハウがあるため、安心して任せられます。

国家資格を持つ職人がいるか確認する

防水工事を依頼する際は、国家資格を持つ職人が在籍しているかどうかも重要なポイント。

たとえば、「防水施工技能士」という資格は、防水の施工技術や知識が国によって認められた証です。
この資格を持つ職人がいる業者であれば、安心して工事を任せられるでしょう。

防水工事後のアフターフォローが充実している

最後に、防水工事後のアフターフォローが充実しているか確認しましょう。
万が一、不具合やトラブルが発生しても、すぐに再工事や補修をしてくれる業者であれば安心ですよね。

また、保証やアフターフォローが充実している業者は、自社の技術や仕上がりに自信を持っていることが多く、施工の品質も高い傾向があります。
そういった意味でも、アフターフォローの内容は業者選びのポイントのひとつ。

なお、実際に保証を受ける際の条件や期間は業者によって異なります。
どういったケースで保証が適用されるのか、保証期間は何年なのか、といった詳細は、契約時に必ず書面で確認し、契約書に明記してもらいましょう。

屋根の防水工事なら株式会社アクアスへ

ここまで読んで、防水工事の種類や費用相場はわかったけど、どの防水工事が自分の屋根に適しているのか判断できない。という方も多いと思います。

実際には屋根の構造や形状によって最適な防水工事が異なるため、防水業者による現地調査が欠かせません。
ただ、防水業者によっては、現地調査やお見積もりに費用がかかり、調査後に工事を依頼しなければ、その費用が無駄になってしまう場合も。

株式会社アクアスでは、防水工事のご相談をいただいた際、まずは無料で現地調査とお見積もりを行います。
お客様に安心してご依頼いただけるよう、長持ちする防水工事をご提案いたします。
屋根の防水工事でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

参考までに、各防水工事の施工事例を紹介します。

ウレタン防水工事の施工事例

スクロールできます

FRP防水工事の施工事例

スクロールできます

塩ビシート防水工事の施工事例

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アスファルト防水工事の施工事例

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