「ベランダの防水工事をしたいけど、失敗したくないな。」
「ベランダの床にひび割れを見つけたけど、防水工事って何をするのかよくわからない…」
そんなお悩みを抱える戸建てにお住まいの方に向けて、防水工事の知識がなくても安心して読める、ベランダ防水工事の基本知識を幅広く解説します。
防水工事でよくあるトラブルや、防水工事を依頼する前に知っておきたいポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ベランダの防水工事とは?

ベランダ防水工事とは、建物の屋外にあるベランダの床に対して、雨水や湿気などから浸食や漏水を防ぐために行う工事です。
ベランダは日常的に雨風や紫外線にさらされるため、経年とともに防水層が劣化しやすい場所のひとつ。
ベランダの床がひび割れ・膨れなどの劣化がある場合、建物内部に雨漏りする恐れがあります。
ただ、ひと口にベランダ防水工事といっても、劣化具合によって必要な防水工事の内容が異なります。
ベランダ防水の構造

ベランダの防水は、大きく分けて「下地」「防水層」「トップコート」の3層で成り立っています。
それぞれの役割は以下の通りです。
1層目:下地
ベランダの床部分の土台にあたる部分です。
コンクリートやモルタルなどでできていて、防水層を支えるベースになります。
下地にひび割れや段差があると、その上の防水層もうまく機能しないため、防水工事ではまず下地の状態をしっかりチェックします。
2層目:防水層
防水層は、水の侵入を防ぐメインの層。
防水層を作る工法はいくつかありますが、どれも水を通さないことが役割です。
この防水層が劣化すると雨漏りの原因となるため、防水工事では防水層の形成が中心となります。
3層目:トップコート(表面の仕上げ)
トップコートとは、防水層の上に塗る、仕上げ用のコーティング材です。
防水性能はありませんが、雨や紫外線から防水層を守る役割があります。
トップコートが剥がれたり、色があせたりしてきたら、防水層が傷む前に塗り替えることで、防水層を長持ちさせられます。
ベランダの劣化サインと対策

ベランダ防水は3層構造ですが、目視で確認できるのは床表面のトップコートだけです。
だからこそ、床表面の色あせやひび割れといった変化が、劣化のサインになります。
ここでは、ベランダの4つの劣化サインと対策を紹介します。
ベランダの床表面の色あせ
ベランダの床表面が色あせている場合は、トップコート(表面の仕上げ材)の保護機能が低下しているサインです。
トップコートは、防水層を雨水や紫外線から守る重要な役割を担っていますが、劣化が進むと下の防水層にも影響が及びます。
色あせに気づいたら、防水層を長持ちさせるためにも、トップコートの塗り替えを検討しましょう。
ベランダの床表面の剥がれ・膨れ
ベランダの床表面に剥がれや膨れがある場合、防水層が傷んでいる可能性があります。
もしトップコート(表面の仕上げ材)だけの劣化であれば、トップコートの塗り替えで対応できますが、防水層まで劣化していると、下地からの修繕が必要になることも。
剥がれや膨れを見つけたら、自己判断せずに専門業者に調査を依頼し、状態を正しく確認してもらいましょう。
ベランダの水溜まり
ベランダに水溜りができる主な原因は、排水溝の詰まりや勾配不足です。
排水溝にゴミや落ち葉が詰まり、水が流れなくなっている場合は、掃除すれば解消できます。
しかし、排水溝が詰まっていないのに水溜りが残る場合は、防水工事の施工不良による勾配不足が疑われます。
そのままにしておくと、防水層の劣化を早める原因にもなるため、専門業者に相談しましょう。
ベランダ床の裏側の雨染み
屋外からベランダの底面(裏側)に雨染みが見られる場合は、防水層が劣化して漏水が起きている可能性が高い状態です。
このまま放置すると、室内への雨漏りに発展する恐れがあるため、できるだけ早く専門業者に調査と防水工事を依頼しましょう。
ベランダの劣化進行度別|必要な防水工事の目安

ベランダの防水工事は、劣化の状態によって必要な対処法が異なります。
以下の表では、よくある劣化症状とその対処の目安をまとめました。
あくまで参考としてご覧いただき、迷った場合は専門業者への相談をお勧めします。
劣化の状態 | 主な対処法の目安 | ポイント |
---|---|---|
ベランダ床表面の色褪せ | トップコートの塗り替え | 防水層自体が劣化していない場合に限る |
ベランダ床表面の剥がれ・膨れ | トップコートの塗り替え or 防水層の補修・再施工 | 状況によって工事内容が変わるため、現地調査が必要 |
ベランダに水溜りができる | 場合によっては防水工事が必要 | 勾配不良の可能性もあり、専門的な判断が必要 |
雨漏りが起きている | 下地の補修を含めた本格的な防水工事が必要 | 劣化が進行している可能性が高いため、早めの対応が重要 |
ベランダ防水工事の種類と特徴
ベランダの防水工事に使われる、以下2種類の工法をご紹介。
- ウレタン防水
- FRP防水
どちらの工法も、液体状の防水材を塗って防水層を作る「塗膜防水」という工法です。
それぞれのメリット・デメリットは以下の通り。
防水工事 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ウレタン防水 | ・工事する場所を選ばない ・工事・メンテナンス費用が安い | ・職人の技術が仕上がりを左右する ・5年に1度メンテナンスが必要 ・施工中に樹脂の匂いが出る ・木造住宅には向かない |
FRP防水 | ・耐久性が高い・工事期間が短い | ・広い面積の工事には向かない ・5年に1度メンテナンスが必要 |
施工場所を選ばない!ウレタン防水工事

ウレタン樹脂を複数回塗って、防水層を形成する工法がウレタン防水です。
どんな場所にも施工できるため、数ある防水工法の中でもよく使われる工法。
ウレタン防水にも様々な工法がありますが、ベランダの防水工事には「密着工法」と「通気緩衝工法」の2種類の工法が採用されることが多いです。
2種類の工法について詳しく知りたい方は、こちらも合わせてご覧ください。
耐久性が高い!FRP防水工事

FRP防水では、耐衝撃性・耐摩耗性に優れたガラスマットを敷き、その上からポリエステル樹脂を塗って防水層を作る工法です。
他の防水材と比べて耐久性が高いため、人の出入りが多いベランダやバルコニーの防水工事に採用されます。
FRP防水について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
ベランダ防水工事の費用相場・工期・耐用年数

ベランダの防水工事に使われるウレタン防水とFRP防水の費用相場・耐用年数を紹介します。
費用や耐用年数だけでなく、施工手順や乾燥時間の違いによって工期も異なります。
防水工事 | 費用相場 | 工期の目安 | 耐用年数 |
---|---|---|---|
ウレタン防水 | 1㎡辺り 5,500〜6,500円 | 約3〜7日 | 10〜15年 |
FRP防水 | 1㎡辺り 5,000〜7,000円 | 約1〜3日 | 10年 |
ベランダ防水工事の施工手順

ここからは、ウレタン防水とFRP防水の主な施工手順をご紹介。
施工の流れを理解しておくと、業者からの説明にあいまいな点がないか、手抜きされそうな工程がないかをチェックできます。
基本的な工程を知らないと、「省ける工程」と言われて手抜きされても気づけません。
また、知らない作業が目の前で行われるより、「今日はあの作業をしてるんだな」と理解できたほうが安心です。
ウレタン防水とFRP防水は、どちらも液体状の樹脂を塗って硬化させる「塗膜防水」の一種。
施工手順はおおまかに同じですが、防水層を作る工程に違いがあります。
どんな違いがあるのか施工手順を見ながら確認していきましょう。
手順1. 高圧洗浄・下地処理
まず、ベランダの床面や立ち上がり部分を高圧洗浄で丁寧に清掃します。
ゴミや汚れはもちろん、コケや藻などの付着物も洗い流し、防水材が下地にきちんと密着する状態を整えることが目的です。
手順2. プライマー塗布
洗浄後に水が乾いたら、プライマーと呼ばれる下塗り材を塗ります。
下地と防水剤の接着性を高める役割があり、防水材の剥がれを防ぐのが目的です。
手順3. 防水層の塗布
プライマー塗布まではウレタン防水とFRP防水は同じ工程ですが、防水層の塗布に違いがあります。
ウレタン防水工事の場合
下塗り材が完全に乾燥したら、液体状のウレタン樹脂(防水材)を専用のローラーや刷毛を使って、均一に塗っていきます。
1回だけでは十分な厚みが出ないため、2層に分けて重ね塗りし、規定の厚みにします。
FRP防水工事の場合
下塗り材が完全に乾燥したら、ポリエステル樹脂を塗り、上からガラス繊維で作られたガラスマットを敷きます。
再度、ガラスマットの上からポリエステル樹脂を塗って防水層を形成。
その後、ローラーを使って樹脂の内部に残った空気を抜く「脱泡」という作業を行います。
手順4. トップコート塗布
最後は、ウレタン防水・FRP防水ともに、トップコートと呼ばれる防水層の保護塗料を塗ります。
紫外線や雨水から防水層を保護し、耐久性を高める役割を果たします。
紹介した施工手順を画像で詳しく見たい方は、こちらの施工事例をご覧ください。
ベランダ防水工事はDIYでもできる?

ベランダの防水工事の施工手順を見て、「自分でもできそうだな」と思った方もいらっしゃるかと思います。
確かにウレタン防水は比較的扱いやすく、DIY用のセットも販売されています。
しかし、ベランダの防水工事をDIYで行うのは絶対やめておきましょう。
下地処理が不十分だったり、塗りムラがあったりすると、一見キレイに見えても防水性は大きく低下します。
また、防水材の塗布量や乾燥時間など、細かい管理が必要な工程も多く、専門知識と経験が求められます。
数年後に再び雨漏りしてしまい、結局業者に依頼してやり直すケースも少なくありません。
ベランダは日常的に使う場所でもあり、防水工事のやり直しは大きな負担になります。
安心して長持ちさせるためにも、防水工事は業者に任せましょう。
ベランダ防水の施工トラブル事例

ここからは、ベランダ防水工事でよくあるトラブルとその原因について紹介します。
業者に依頼する前に知っておくことで、万が一トラブルが起きても速やかに対応できます。
工事後にできる気泡の原因と対処法
ベランダ防水工事を終えたあと、表面に小さな気泡がいくつか見られることがあります。
「施工不良かな?」と不安になるかもしれませんが、必ずしも問題とは限りません。
ウレタン防水やFRP防水などの塗膜防水では、施工中に空気や湿気が閉じ込められ、乾燥の過程で表面に気泡が生じる場合があります。
特に、下地の水分が多かった場合や、気温・湿度の条件が揃っていないと、こうした気泡が出やすくなります。
ただ、気泡の大きさや数が多い場合、防水層の密着不良や仕上がりの品質に影響することもあるため、気になる場合は施工業者に確認してもらいましょう。
信頼できる業者であれば、補修や再施工に柔軟に対応してくれるはずです。
工事したのに水が溜まる?考えられる理由と対策
防水工事が終わった後でも、一部に水溜まりができる場合があります。
防水層の表面にトップコート(表面の仕上げ材)が塗られた直後は、水を弾きやすい仕上がりのため、一時的に水が溜まりやすくなります。
ただ、水溜まりが長期間消えない場合は排水不良の可能性があるため、早めの点検がお勧めです。
工事中の臭いが気になるときの対策法
防水工事で使われる材料には独特の臭いが伴うことが多く、施工中や施工直後に気になる場合があります。
特にウレタン防水は、臭いのきつい樹脂が使われるため、室内や近隣に臭いが広がることも。
そんなときは、まずしっかり換気を行うことが重要です。
臭いは空気より重いため、戸建て住宅の場合は1階からの換気を心がけると効果的です。
また、臭いが強くて日常生活に支障が出る場合は、作業中だけでも外出するのがお勧め。
施工前には業者と相談して、臭いの少ない材料を選んでもらうことも対策のひとつです。
ベランダの防水工事前に押さえておきたい4つのポイント

ベランダの防水工事を依頼する際に、押さえておきたいポイントを4つ紹介します。
これらを事前に知っておくことで、スムーズに工事を進められ、トラブルを防げます。
1. 室外機は移動が必要?
ベランダの防水工事を依頼する際に、室外機を移動した方が良いのか気になりますよね。
結論としては、室外機は移動しなくて大丈夫です。
工事中は室外機を浮かせる、または移動しながら作業するため、事前に室外機を移動する必要はありません。
2. 雨天でも工事は可能?
雨天時はウレタン防水・FRP防水ともに施工ができません。
雨や湿度によって防水材が乾きにくく、しっかり乾燥・硬化しないためです。
3. 足場が必要なケースとは?
ベランダの防水工事では、必ずしも足場が必要とは限りません。
足場の有無は、「室内からベランダに直接アクセスできるかどうか」が判断基準となります。
たとえ室内を通ってベランダに上がれる建物でも、お客様のご希望で室内を通られたくない場合は、足場を設置する必要があります。
4. 補助金を活用できる場合もある?
防水工事の補助金は自治体によって内容や条件が異なります。
補助金が受け取れるかどうかは、お住まいの自治体に直接確認するのが一番確実です。
気になる方は、まず自治体に問い合わせてみましょう。
ベランダ防水工事に適した季節とは?

季節ごとに注意すべき点はありますが、一番大切なのは「建物の劣化を放置しないこと」です。
防水層が大きく劣化していたり、雨漏りが起きている場合は、季節を問わず速やかに業者へ工事を依頼しましょう。
軽度の劣化であれば、防水工事やメンテナンスは春や秋がお勧めです。
ウレタン防水やFRP防水では、防水材をしっかり乾燥させることが重要なため、気温や湿度が安定している春・秋が施工に最も適した季節と言えます。
また、夏は晴天の日が多く日照時間も長いため、工期の調整がしやすいのが特徴。
ただ、防水材の臭いが気になることもあります。
冬は気温が低いため乾燥時間が長く、工期が延びることもありますが、天候が安定していれば工事自体は可能です。
ベランダの防水効果を長持ちさせる2つのコツ

ベランダの防水工事をしたら、できるだけ長く防水効果を保ちたいですよね。
大切な住まいを守るためにも、防水効果を長持ちさせる以下2つのコツを押さえておきましょう。
1. 定期点検
定期点検は、防水層の上にあるトップコート(表面の仕上げ材)の劣化を早期発見するのが目的です。
トップコートが傷んでいる状態を放置すると、やがて防水層まで劣化が進んでしまう恐れがあります。
ひび割れや色あせ、剥がれなどのサインを見逃さず、早めに対処することで、防水効果を長く保てます。
2. トップコートの塗り替え
トップコートは、防水層を紫外線や風雨から守る役割を果たしています。
このトップコートが劣化すると、防水層が直接ダメージを受けやすくなり、結果として防水性能の低下につながります。
目安としては、5年ごとの塗り替えがお勧め。
ウレタン防水・FRP防水の耐用年数は約10年ほどですが、トップコートのメンテナンスを定期的に行っている場合の寿命です。
トップコートの塗り替えをしないと、その分防水層の寿命が短くなるため、トップコートの劣化が見られる場合は塗り替え時期と考えましょう。
ベランダの防水工事なら株式会社アクアスへ
この記事では、ベランダ防水の基本知識や劣化サイン、よくあるトラブル、メンテナンス方法まで幅広く紹介してきました。
「ベランダの床が傷んでいるけど、トップコートの塗り替えだけで大丈夫?」「本格的な防水工事が必要?」と迷う方も多いと思います。
ご自身で判断するのは難しいため、気になる場合は専門業者に相談するのが安心です。
株式会社アクアスでは、ウレタン防水・FRP防水など各種工法に対応可能。現場の状況に応じて、最適な施工をご提案いたします。
また、「ウレタン塗膜防水 1級技能士」の資格を持つ職人も在籍しており、技術力にも自信があります。
見積もり・現地調査は無料。丁寧なヒアリングとわかりやすい説明で、安心してご依頼いただけます。
ウレタン防水工事の施工事例



FRP防水工事の施工事例



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