折半屋根の防水工事と劣化症状をプロ目線でわかりやすく解説

工場や倉庫の折半屋根から雨漏りが発生すると、設備や製品への影響はもちろん、業務にも大きな支障が出てしまいます。
こうした状況に直面し、「どこから雨漏りしているのか分からない」「どんな防水工事が適しているのか知りたい」と悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、折半屋根の構造や雨漏りが起きやすい原因を分かりやすく解説し、状態に応じた防水工事の選択肢も紹介します。
さらに、工事の費用や工期、工法ごとの耐用年数なども理解できる内容になっており、安心して施工を依頼できる判断材料が得られるはずです。

この記事を読むことで、雨漏りを確実に止め、工場や倉庫を安全に稼働させながら、納得のいく防水工事を選べるようになるでしょう。

目次

折半屋根の構造とは?防水工事の必要性

折半屋根(せっぱんやね)とは、金属板を波状や山形に折り曲げて組み合わせた屋根のことです。
「折板屋根」とも呼ばれ、工場や倉庫、体育館などの大型施設によく採用されます。

折半屋根の大きな特徴は、軽量でありながら高い強度を持ち、施工がしやすい点です。
また、屋根の形状が雨水を自然に流す構造になっているため、傾斜屋根と組み合わせることで効率的に排水できます。

ただし、折半屋根には防水性能がなく、板を固定するボルトや板同士の接合部から雨水が入りやすい弱点もあります。
時間の経過とともに金属部分が劣化し、雨漏りやサビの発生などのトラブルにつながりやすい点にも注意が必要です。

折半屋根の雨漏りの主な3つの原因

折半屋根は、工場や倉庫などで多く採用される丈夫な屋根ですが、放置すると雨漏りが発生しやすい点があります。
特に、板同士の接合部やボルト周り、サビが進んだ部分は雨水が入りやすい箇所です。

事前に雨漏りの原因を把握することで、早めの点検や防水対策につながります。

1. 板同士の接合部からの浸水

折半屋根の雨漏りで最も多い原因のひとつが、板同士の接合部からの浸水です。

接合部には通常、シーリング材(隙間を埋めて水の侵入を防ぐ素材)が使われています。
ただ、シーリング材は紫外線や熱の影響で硬化したり、ひび割れが生じたりして徐々に劣化していき、接合部からの漏水につながる場合があります。
そのため、接合部の点検とシーリング補修は、折半屋根の雨漏りを防ぐうえで非常に重要です。

2. ボルト周りの劣化

折半屋根の雨漏りで注意すべきもうひとつのポイントが、ボルト周りの劣化です。

折半屋根は、金属板を固定するためにボルトを使用しています。
ボルト周りにはゴム製パッキンがあり、雨水の侵入を防ぐ役割を果たします。

しかし、経年でパッキンが硬化したりひび割れたりすると、ボルトと金属板の間に隙間が生じ、雨漏りの原因になることがあります。
そのため、ボルト周りの定期点検と必要に応じた補修は、折半屋根の雨漏りを防ぐうえで欠かせません。

3. サビによる穴あき

折半屋根で見逃せない雨漏りの原因のひとつが、サビによる穴あきです。

金属板は雨水や結露の影響で表面が酸化し、サビが徐々に広がります。
サビが進行すると鉄板に穴が開き、そこから雨水が屋内に直接入り、広範囲での雨漏りにつながることも。

穴あきが起こる前に、定期的なメンテナンスや防水工事でサビの進行を防ぐことが重要です。

折半屋根の雨漏りを放置する3つのリスク

折半屋根で発生した雨漏りは、放置すると建物や事業に深刻な影響を及ぼします。
ここでは、折半屋根特有のリスクを3つに分けて解説します。

1. 天井・壁・設備に与える被害

折半屋根からの浸水は、天井や壁材の腐食、断熱材の劣化を引き起こします。
特に工場や倉庫では、機械設備や在庫商品が水濡れによる損傷を受けることもあり、被害が広がるほど修繕が複雑になります。

2. 雨漏り跡が建物の資産価値に影響

折半屋根の雨漏り跡は、屋根や内装に痕跡として残ることがあります。
賃貸や売却の際には、これが資産価値の低下につながり、マイナス評価の原因となります。

3. 数百万円規模に修繕費用が拡大

折半屋根の雨漏りは早期補修であれば数十万円程度で済むことが多いです。
ただ、雨漏りを放置すると数百万円規模の大規模修繕が必要になる場合があります。

経済的負担を抑えるためにも、雨漏りの兆候を見つけたら早めの防水工事が重要です。

折半屋根の補修パターンに合わせた適切な補修・防水工法

折半屋根の補修方法は、軽度の補修や応急対応から、しっかり改修したい場合、さらには屋根材の全面葺き替えまで、目的や予算に応じて選べます。
ここでは、それぞれの補修パターンに適した補修・防水工法を紹介します。

補修パターン補修・工法 特徴
・軽度の補修
・応急対応をしたい
・予算を抑えたい場合
・シーリング補修
・塗膜系防水
・シーリング補修:ボルト周りや接合部の部分補修に最適
・塗膜系水:屋根全体の軽度劣化や雨漏り予防に適する
・しっかり補修したい
・予算に余裕がある場合
・断熱材+防水シート
・塗膜系防水
既存の屋根のまま、防水性能を高める
屋根材の全面葺き替えが必要な場合・葺き替え工法既存屋根を撤去して新しい屋根に葺き直す
工期・費用はかかるが、雨漏りや劣化を根本から解決可能

軽度の補修・緊急補修をしたい・予算を抑えたい場合

雨漏りがまだ発生していない段階でも、屋根表面のサビやボルトの緩み、接合部のシーリング材の剥がれなど、軽度の劣化が見られる場合があります。
こうした劣化を放置すると、やがて雨水の侵入につながる可能性があるため、早めの補修が重要です。

また、折半屋根は金属製であるため温度変化による膨張・収縮を繰り返し、微細な隙間が生じやすい特徴もあります。
そのため、防水性能を維持するには、定期的な点検と継続的なメンテナンスが欠かせません。

ここからは、折半屋根の軽度の補修や緊急補修に用いられる2つの補修方法を紹介します。

1. 接合部やボルト周りの浸水を予防する「シーリング補修」

シーリング補修は、板同士の接合部やボルト周りにシーリング材を充填して隙間を埋める部分補修です。
劣化が軽度の場合は、この方法でも十分に雨水の侵入を防げるでしょう。
施工も短時間で完了するため、雨漏りが起きる前の予防として適しています。

ただ、シーリング材は時間とともに再度硬化やひび割れが発生するため、定期的な点検と補修が欠かせません。

2. 局所的な雨漏りを防ぐ「塗膜系防水」

塗膜系防水とは、液体状の樹脂を屋根に塗布して、つなぎ目のない防水層を作る工法です。
屋根の錆や苔、黒ずみ、下地の劣化など、局所的な補修に最適。
凹凸のある構造や複雑な形状の屋根にも対応でき、金属屋根にも高い密着性を発揮します。
軽度の劣化段階で塗膜系防水を行うことで、雨漏りや劣化の進行を防ぐ効果が期待できます。

しっかり補修工事がしたい・予算に余裕がある場合

予算に余裕がある場合は、屋根全体の防水性を高めつつ、室内の環境改善も見込める改修工事が適しています。
屋根全体の改修工事によく用いられる2つの工法を紹介します。

1. 防水性を高め室内環境も改善する「断熱材 + 防水シート」

工場・倉庫では、定期的な改修工事が必要です。
その際に用いられるのが、既存屋根に断熱材を敷いて上に防水シートを貼り、防水層を形成する工法です。
防水層の形成には、主に以下2つの工法が使われます。

断熱材が屋根に加わることで、夏の暑さや冬の寒さを和らげ、室内の空調効率を高める効果があります。
新しい下地を作らず既存屋根に直接シートを固定するため、屋根全体の重さを増やさずに施工できるのも特徴。
また、金属屋根に比べて雨音も軽減されるため、作業環境や室内環境の快適さにもつながります。

2. 意匠性を保ちつつ屋根全体を補修する「塗膜系防水」

塗膜系防水は、部分補修だけでなく、屋根全体の補修工事にも適した工法です。
意匠性を損なわずに防水性能を確保でき、複雑な形状の屋根にも均一な塗膜層を形成できる点も特徴。
また、塗膜が紫外線や雨風から屋根を守ることで、劣化の進行を抑える効果も期待できます。

屋根の劣化が広範囲なら「葺き替え工法」で根本から解決

折半屋根の劣化が広範囲に及び、雨漏りが深刻な場合には、「葺き替え(ふきかえ)工法」が適しています。
葺き替え工法とは、既存の屋根をすべて撤去し、新しい屋根に葺き直す工法です。
サビによる穴が広がっている場合や、屋根の下地・構造体まで劣化が進んでいる場合に選ばれます。

工期や費用が他の工法に比べて最もかかりますが、屋根全体を新しくすることで、雨漏りやサビの問題を根本から解決できる可能性があります。
長期的に建物を安心して使用したい場合には、葺き替え工法を検討するとよいでしょう。

折半屋根の防水工事別の費用相場と耐用年数

折半屋根は補修・防水工法によって費用や耐用年数が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
以下は、折半屋根で行われる主な補修・防水工法の費用相場と耐用年数の目安をまとめた表です。

補修・防水工法費用相場(1㎡辺り)耐用年数
シーリング補修1,000円~2,500円約3〜5年
塗膜系防水5,500〜6,500円約10~15年
断熱材 + 防水シート4,000〜7,500円約10~15年
葺き替え工法11,000~55,000円約20~30年

折半屋根の防水工事で押さえておきたい4つのポイント

折半屋根の防水工事では、事前に押さえておくべき4つのポイントを理解しておくことが工事を成功させる鍵です。
工事の方法やタイミング、保証内容を把握しておくことで、施工中のトラブルや余計なコストを未然に防げるでしょう。

1. 雨漏り前の劣化サインを見逃さず、補修工事を検討する

雨漏りが発生していなくても、劣化サインがあれば予防としても補修工事を検討すするとよいでしょう。
サビの発生、ボルトの浮き、シーリングの劣化などは、雨漏りの前兆として現れることがあります。

雨漏りが始まると被害が一気に拡大し、補修だけでは追いつかない場合もあります。
そのため、雨漏りしていなくても補修工事を行うことが、結果的にコストや被害を抑えることにつながります。

2. 「断熱材 + 防水シート」なら工場や倉庫を稼働したまま防水工事が可能

工場や倉庫を稼働させながら防水工事を行いたい場合は、「断熱材 + 防水シート」を選ぶのが有効です。
「断熱材 + 防水シート」は既存屋根の上に防水層を形成するため、建物内部への影響が少なく、通常通り工場を稼働させながら施工できます。

安全を確保しつつ工期を短縮するために、施工範囲ごとの作業計画を事前に立てることが重要です。

3. 防水工事では「保証の有無と内容」を必ず確認する

防水工事では、工事保証の有無と内容を必ず確認しましょう。
施工直後には防水効果がわかりにくく、雨漏りのリスクは5年・10年先まで続くため、保証があるかどうかで安心度が大きく変わります。

一般的には5年〜10年の保証が多く、保証書が発行されるか、雨漏りが再発した場合の対応が明記されているかを確認しておくとよいでしょう。

4. よくあるトラブルは事前に把握しておく

防水工事でよく起こるトラブルは、事前の調査不足による追加費用、工期の延長、保証の不備です。
施工途中にサビの拡大や下地の劣化が見つかることで追加費用が発生したり、工事の進め方や天候により、建物を長期間使えなくなる場合もあります。
さらに、保証内容が不十分だと、数年後に雨漏りが再発しても対応してもらえないことも。

これらを避けるためには、事前に現地調査をしっかり行い、見積もりや契約時に工事内容と保証範囲を明確にしておくことが重要です。

折半屋根の防水工事の流れ

折半屋根の防水工事を計画する際には、全体の流れをあらかじめ把握しておくことが大切です。
どの段階で何を確認すべきかを理解しておくと、施工中のトラブルや余計な追加費用を防ぐことにつながります。

ここでは、現地調査から施工までの流れについてわかりやすく解説します。

STEP 1. 現地調査・劣化診断

まず、施工業者による現地調査が行われます。
屋根のサビ、塗膜の剥離、穴あき、ボルトの浮き、既存シーリングの状態など、雨漏りや劣化のリスクとなる箇所を細かくチェックします。

調査方法は、目視や写真撮影のほか、ドローンでの俯瞰撮影や、必要に応じて赤外線カメラを用いることもあります。
これにより、目に見えない屋根内部の劣化や雨水の侵入経路も確認できます。

STEP 2. 最適な工法の提案と見積もり

現地調査の結果をもとに、施工業者は最適な工法の提案と見積もりを行います。
提案資料には、工法ごとのメリット・デメリット、耐用年数、工期の目安、保証内容などが明記されています。
過去の施工履歴や漏水経験、建物の使用状況も総合的に判断され、最適な施工方法や時期が決まります。

複数の案を比較検討し、予算や建物状態に最も適した方法を選ぶことが大切です。
わからない点があれば、この段階で積極的に質問しておくと安心できるでしょう。

STEP 3. 施工開始

契約締結後、いよいよ施工が始まります。
安全管理を徹底しながら、計画に沿って防水工事が進められます。

天候や現場環境によって工期は変わるため、多少余裕を持ったスケジュール設定が必要です。
ウレタン防水やカバー工法では、乾燥時間や重ね張り工程が必要になるため、比較的長めの工期となる傾向があります。

施工中は、雨漏り防止や断熱効果の確保、ボルト・接合部の補強など、屋根全体の防水性能を高める作業が行われます。

防水工事で失敗しない業者選びの3つのポイント

折半屋根の防水工事では、どの業者に依頼するかが仕上がりや耐久性に影響します。
同じ施工法でも、業者の技術力や使用する資材、現場管理の丁寧さによって、防水性能や耐用年数に大きな違いが出ることがあります。
そのため、折板屋根の防水工事を依頼する際は、信頼できる業者を選ぶことが大切です。

ここでは、業者を選ぶ際に確認しておきたいポイントをわかりやすく紹介します。

1. 工場・倉庫での施工経験がある業者を選ぶ

折半屋根は、工場や倉庫など稼働を止められない現場での施工経験がある業者かどうかが重要です。
また、工場・倉庫など大型施設の対応事例があるかも確認してください。
現場条件や建物構造に近い施工経験があることで、雨漏りリスクを理解した適切な工事が期待できます。

折半屋根特有の雨漏りリスクを理解しているかも、業者選びのチェックポイント。
板の接合部やボルト周り、サビ部分など、雨漏りが起こりやすい箇所に対して適切な防水工事ができるかどうかは、施工後の安心感につながります。

2. 防水工事後のアフターフォローと保証を確認する

防水工事は施工後のアフターフォローも大切です。
信頼できる業者は、施工後に定期点検を行い、問題があれば早期に対応してくれます。

さらに、雨漏りが再発した場合にどの範囲まで保証してくれるのかも確認しておきましょう。
保証内容が明確であれば、万が一のトラブルでも安心して任せやすくなります。

3. 見積書の内容と施工詳細を確認する

防水工事の見積書では、使用する材料・工法・工期・保証内容が詳細に記載されているかが重要です。
「一式」といった曖昧な表現ではなく、施工内容が分かりやすく明記されているかを確認しましょう。

明確な見積書は、施工後のトラブル防止にもつながります。
材料や工法の内容を理解した上で契約できる業者は、信頼性が高い場合があります。

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